ふところは「寂しい」より「深い」方が良いよね!

前回、軽量シャックルについて書いたんだけど、君たち覚えてくれたかい。
シャックル犬 オーティーのモデルになるぐらいメジャーなシャックルなんで
君たち覚えておいてくれよ。

さて、今回は軽量シャックルに負けず劣らずのシャックルを紹介しようと思う。
それは、長シャックルなんだ。

「なーんだ!長シャックルか!」って思った君たちもいるだろうけど、
長シャックルの中にもいろいろな種類があることを知ってるかい?

まずは、長シャックルの説明なんだけど、ふところの深い形状のシャックル
の事を長シャックルって呼ぶんだ。

これは、JISシャックルとの比較なんだ。
同じ使用荷重(4t)のシャックルでもこんなに長さが違う。
このことは、以前のブログにもちょこっと書いてあるんだけど、もとともとは、
鋼製矢板を引き抜く為に使われていたシャックルで、矢板につなぎ引き抜く
ときに使っていたんだ。
だから、長シャックルの事を矢板シャックルって呼んだりもするんだ。

でも、今じゃ矢板引き抜きに使うよりも、このふところが深い特徴を生かして
土木の現場だけじゃなく、建築や橋梁の現場やいろいろな工場なんかで
玉掛け作業に使われることが増えているんだ。
これは、クレーンなどのフックに掛けるときや吊り荷の吊りピースに繋ぐ
ときなんかに、作業がしやすくって効率が上がるからなんだ。

そして、使われる場所の変化とともに長シャックルの種類も増えてきたんだ。

nagashackle lineup.png

まずは、この黒い長シャックルから始まったんだ。

これが主に矢板引き抜き用として使われていたんだ。

次に、強力長シャックル(ボルト・ナットタイプ)が誕生した。
このタイプは特殊合金綱を使うことによって上の黒い長シャックルをコンパクトかつ強靭しているんだ。
このタイプから、矢板引き抜き用以外にいろいろな現場で使用されるようになって今じゃすっかり定番の商品として定着しちゃっているんだ。

その次に誕生したのが、脱落防止型(ボルト・ナットタイプ)だ。
このタイプは、見てもらえば分かるようにボルトとナットにワイヤがついているんだ。
これは、高所作業などで「ボルトやナットが落ちたら危ない!」って言う現場のニーズを形にしたシャックルなんだ。

さらに、強力長シャックルの「捻込タイプ」、「ランヤード捻込タイプ」
「タフスリム(ボルト・ナットタイプ)」
が誕生したんだ。
順番に紹介するよ。


「捻込タイプ」
は、頻繁に取り外しがあるところに最適なタイプなんだ。
このタイプのピンは、前回のブログで書いた軽量シャックルと同じようにツバの部分には二面幅(平たい部分)を設けて、ピンを外して置いた時の転がりを防止しているんだ。


「ランヤード捻込タイプ」
は、捻込タイプと脱落防止型との融合タイプなんだ。

絶対にピンを落とせない現場や頻繁にピンの取り外しがある現場に便利なんだ。

 

最後に、「タフスリム(ボルト・ナットタイプ)」は、従来の強力長シャックルのボルト・ナット止めタイプの口幅を狭くすることで従来品より使用荷重(WLL)を増加しているんだ。それに口幅が狭いんで、シャックル内でワイヤなどのスリングが動きにくく、荷重の偏りを軽減することができちゃう。

これらが、長シャックルの仲間たちだ。

いろいろな特徴を持った仲間たちが、長シャックルにはいるんだけど、
共通する一番の特徴は、ふところの深さなんだ。

長シャックルは、このふところの深さを生かして連結するフックや吊りピース、
スリングなんかが、干渉(ぶつかり合う)しにくくなり連結がしやすくなるんだ。

「ふところが深い」って言うのは、「包容力、度量、寛容力がある」、「器が大きい」ってことの他に、
相撲では、腕と胸の作る空間が深いため、相手になかなかまわしを取らせないって意味があるんだ。

sumou.png

相撲でふところを深くしてまわしを取らせないのと同じように、長シャックルはふところを深くして干渉しにくくしているってことなんだ。
僕の場合は、「ふところが深い」って言うより「ふところが寂しい」んだけどね・・・。

君たち、いろいろな種類の長シャックル使ってくれよな。