吊り具のただならぬ関係知ってるかい!?

吊り具(各種スリング)の吊り方について2回に渡って、掛け本数と吊り角度の事を書いたけど、
君たち覚えているかい。
掛け本数について
吊り角度について

今回は、掛け本数と吊り角度の関係について書こうと思う。

複数のスリングを使ってモノを吊るときの一本当たりのスリングに必要な使用荷重は、掛け本数と張力増加係数を使って計算することが出来る。
張力係数のイラスト

スリング1本当たりの使用荷重は、(吊り荷の質量/掛け本数)×張力増加係数の計算式になるんだ。

ここで簡単な計算だ。
2点吊で、8tのモノを吊り上げるときについて考えてみるよ。

吊り荷の質量 =8t
掛け本数   =2本
吊り角度   =60°(張力増加係数1.16)

だったときは、(8t/2本)×1.16になり答えは4.64tとなる。
この4.64tがこの条件での、スリング1本当たりの必要な使用荷重となり、その使用荷重以上のスリングが必要になるってワケだ。

君たち、ここまでは大丈夫かい?
分からなくっても大丈夫!簡単に解決する方法があるからね。
それは、最後の方で書くことにするよ。

使用荷重の計算で、注意してもらいたいことがある。
玉掛け作業で4本のスリングを使って4点吊りで物を吊り上げるときは、吊り荷の荷重の均等が難しいので4点吊り作業でも3点吊りで計算しないといけないことだ。

掛け本数が増えれば増えるほど、スリングに均等に荷重がかからなくなることは以前に書いたことだが、4本のスリングを使い4点吊りするときなどは4本均等に荷重がかかるなんてことなんてまずないことから安全を見て吊り本数を3本として考える必要がある。

これは、労働省が平成12年の「玉掛け作業の安全に係るかガイドラインの解説」で通達していることなんだ。

どう言うことだって!?
もう一度スリングの計算式に戻って欲しい。

(吊り荷の質量/掛け本数)×張力増加係数
吊り荷の質量 =8t
掛け本数   =4本
吊り角度   =60°(張力増加係数1.16)
のときは、(8t/4本)×1.16=2.32tじゃなく(8t/3本)×1.16=3.09tで計算する必要があるってことなんだ。
君たち、これは重要な事なんで覚えておいてくれよ。

掛け本数が5本以上になるときは特殊な吊り方になる事が多いので、そんなときは相談して欲しい。他にも、いろいろな条件により考えなければいけないことはあるけど基本的はこんな感じだ。

これで、吊り具(各種スリング)を安全・安心に使うためには、掛け本数と吊り角度がただならぬ関係にあるって事をわかってくれたかい。

「いちいちこんな面倒な計算は出来ないよ!」って。

そんな君たちでも、大丈夫だよ。

簡単にスリングを選定する方法があるんだ。
それは使用荷重表を使うことなんだ。

それぞれの使用荷重表は電子カタログからチェックしてくれよな!

これは、吊り角度を一定間隔に区切り、それぞれの範囲内では一定の値にすることにより使用上の便宜が図られているんだ。
これを使えば簡単にスリングの選定が出来ちゃう。
僕も、普段はこの使用荷重表を使っているよ。だって計算するのは面倒だからね。

それよりもっと簡単な方法があるんだ。
それは大洋製器工業に相談する事だ。
大洋製器工業は、使用荷重を計算して吊り具を選定するのは得意だからね!

次回は、吊り具を選定するための、確認項目について書こう思うから見に来てくれよ。

君たち、掛け本数と吊り角度のただならぬ関係忘れるなよ。

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