モード・モード・モード

今年も10月9日は「世界郵便の日」だね。1874年にスイスで万国郵便条約が調印され、

万国郵便連合が発足した事を記念した日だよ。因みに日本で近代的な郵便が始まったのが、
1871年、明治4年の4月20日なんだ。この時点では、東京・大阪間だけなんだけどね。

ではそれ以前、近代的で無い郵便とは、どうであったか?そう、飛脚だね。

 

 

最速の「仕立飛脚(チャーター便)」の最強最速メニュー「正三日限」を使えば、

東京・大阪間を約3日で届けたと言われるよ。お値段も4両2分と比較的リーズナブルだね。

そして、1871年の郵便制度が実施された事により、最初の2~3年は東京・大阪間は、

重量5匁までで1貫500文と江戸時代よりだいぶ安価になり、その後、2匁までは

全国統一で2銭になったよ。驚異的な価格破壊だね。

 

 

さて、度量衡や貨幣の単位が訳がわからないところで、本題。

宿命的に玉掛けの計算でよく出てくる「張力増加係数」と「モード係数」の話をするよ。

 

 

そもそも、なぜ係数が必要なの?

荷物を2本のスリングで吊るとき、スリングが開くほど、1本にかかる力は大きくなるんだ。

たとえば、2人で重い荷物を持つ場面を想像してみて。2人が真ん中に寄って、まっすぐ上に持ち上げるなら楽だよね。

でも、2人が横に大きく離れると、荷物を支えるだけでなく、引っ張り合う力まで加わって、とてもきつくなる。スリングも同じなんだ。

この「角度が開くと、1本にかかる力が何倍に増えるか」を表すのが張力増加係数。

計算方法
1本あたりの荷重 = 荷物の重さ ÷ 本数 × 張力増加係数

 

モード係数(ストレート吊りの何倍まで吊れるか)

もう一つのモード係数は、見方が逆なんだ。
「ストレート吊り(1本でまっすぐ吊る)」の使用荷重を1としたとき、

その吊り方だと何倍まで吊れるかを表す。大きいほど、たくさん吊れるということだね。

 

計算方法

必要なストレート吊りの使用荷重 = 荷物の重さ ÷ モード係数

 

 

 

2つの関係

2つの表を見比べると、角度が開くほど、張力増加係数は大きくなり、モード係数は小さくなる。

逆の動きをしているよね。実は、この2つにはこんな関係がある。


モード係数 = 本数 ÷ 張力増加係数

たとえば、2本で120°のとき、2 ÷ 2.00 = 1.00になる。表の値と合っているよね。
※ 他の角度では、表の数値が小数第2位までに丸めてあるため、計算結果が0.01ほどずれることがあるよ。

つまり、同じことを「1本の負担」で見るか、「全体で吊れる量」で見るかの違いなんだ。

 

 

 

例題:8tの荷物を2本で吊る(吊り角度60°)

張力増加係数で計算
8t ÷ 2本 × 1.16 = 4.64t
→ 使用荷重4.64t以上のスリングを選ぶ。


モード係数で計算
8t ÷ 1.73 = 約4.62t
→ ストレート吊りの使用荷重が約4.62t以上のスリングを選ぶ。

 

 

どちらも、ほぼ同じ答えになる。小数点以下の丸めで少し違うだけだよ。

 

 

まとめると、

  • 張力増加係数は、「角度が開くと1本の負担が何倍になるか」

  • モード係数は、「ストレート吊りの何倍まで吊れるか」

  • 2つは モード係数 = 本数 ÷ 張力増加係数 でつながっている

  • 吊り角度は原則60°以内。どうしても開くなら天秤を使おう

 

 

 

張力増加係数もモード係数も単位が揃っていてわかりやすいね。

ところで、飛脚の速度は概ね、市民ランナーがハーフを2時間ほどで走るペースと同じなんだ。

飛脚の多くが荷をリレーする伝馬制だから、一人または二人の走る距離は20km程度であったらしい。

ただ、現代のマラソンと違うのは、道は舗装されておらず、10kgほどの荷を運ぶってことだね。

マラソンというよりトレラン。2リットルの水を5本抱えて、毎日5里走る先鋭化した鬼だね。

失われた心の震えを回復するために「僕は」走り続けなければならないけど、

僕なんか、20,000mどころか、10ヤードで鬼籍に入るね。


今日も1日ご安全に!