
口が開いたら使用不能!
3回にわたって、フックの良くある誤った使い方について書いたんだけど、
君たち分かってくれたかい。
誤った使い方には(1)フックの先端吊り、(2)フックのあて吊りって言うのが
あって、そんな使い方をしちゃうと、変形や破損しちゃって事故の原因に
なっちゃうんでやっちゃいけないんだ。
フックを使ってモノを吊るときは縦方向に荷重が掛かるように使ってくれよ。
ただ、正しい使い方をしていても、フックが安全に安心して使える状態になかったら
意味がないよね。
そこで、今回は常に安全な状態にしておくためにフックの点検について書こうと思う。
フックの点検項目は大きく分けて
(1)・変形していないか点検
(2)・摩耗、腐食していないか点検
(3)・当たりキズ、亀裂がないか点検
(4)・アークストライクがないか点検
(5)・外れ止め金具が機能しているか点検
この5項目なんだ。
じゃ、順番に説明するよ。
まずは、(1)・変形していないか点検についてだ。
フックが変形していないかどうか、まずは目視で点検するんだ。
上の画像のようにあきらかに変形しちゃっているフックは使っちゃいけないんだ。
これはブログにも書いたんだけど、「先端吊り」をしちゃうとこんな変形をすることが良く
あるんだ。
一回、先が延びちゃって口が開いちゃったフックは、そのフック本来の力を十分に発揮する
ことが出来なくなっているし、吊り荷のバランスが悪くなっちゃたりすることがあるんで
使っちゃいけないんだ。
まあー、こんなに変形していたら目で視ても分かるし、君たちも使っちゃいけないって
思うよね。
でも、実際は目で視て良く分からないってことがあるんだ。
そんなときのために、フックには標点がついているんだ。
標点は、ポンチマークやエンボスマークなんて言われ方もするんだけど、標点と標点の
距離を測って変形を確認するためのマークなんだ。
上の画像を見てほしい。
分かり易いように黄色い点にしてあるんだけど、これが標点だ。
実際は、フック本体と同じ色で小さい突起になっているよ。
この標点と標点の距離(L)を測って変形率を求めて規定値を超えるものは使っちゃいけ
ないんだ。
の計算で、この変形率が5%を超えるものは使っちゃいけないんだ。
例えば、この標点距離(L)の初期値(フック未使用時)の寸法が50mmで、
計測値(フック使用済み)の寸法が55mmだったとしちゃうよ。
上の計算式に当てはめると、
になって、変形率が10%で使っちゃいけない基準の5%を超えちゃっているから廃棄しない
といけないってことになるんだ。
明確な基準があって分かり易いよね。
大洋製のフックには、この標点が付いていてフックの口の開きを点検することが
出来るんだけど、海外製のフックとかには標点がついていないモノもあるんだ。
これはフックのJIS規格 JIS B 2803-1996に、標点距離を測って点検するって基準が
あって海外とは違うからなんだ。
車に例えてみると
日本では左側通行なんで車は基本的に右ハンドルなんだけど、欧米では右側通行なんで
左ハンドルだよね。
それは、日本と欧米とじゃ基準が違うからなんだ。
日本の道路は基本的には右ハンドル用に出来ているんで、「右折するときに対向車の
確認が難しい!」「駐車場でお金を払うのが大変!」ってのがあるみたいなんだ。
僕は、乗ったことがないからよくわからないんだけどね。
でも、一度は乗ってみたいと思っちゃうよね。
こんな車はちょっと遠慮したいし、点検の必要があると思うけどね。
ただ、左ハンドルの車自体は、もちろん法律に違反しているワケじゃないないんだ。
フックの標点にしても、ついてないと罰せられるってことじゃないんだけど、より明確にフックを
点検するためには必要だと思うよ。
標点がついているフックじゃないと使えないって工場や現場もあるからね。
君たち、フックの口開きの点検しちゃってくれよ。