よく「玉掛け用具を捨てるタイミングが分からない」と、点検についての相談をもらうんだ。
捨てるタイミングが分からなかったら、なんでも壊れるまで使っちゃうよね。でも、それってすごく危険だよね!
使用している現場に訪問させてもらって、説明しながら実際に点検してみると、
ほとんど廃棄基準に達していた!なんてこともあったんだ。
ということで、今回は「ベルトスリング」の点検タイミングと点検項目・廃棄基準を紹介していくよ。
点検タイミング
ベルトスリングに限らず玉掛け用具は、「日常点検」と「定期点検」を行うよ。
日常点検は、毎日作業前に行う点検で、基本的に目視での確認。
定期点検は、使用頻度により毎月1回以上定期的に行う点検のことで
日常点検より細かく確認し、台帳等に記入・管理するんだ。
この点検で、廃棄基準に達している玉掛け用具は廃棄する必要があるよ。
点検項目・廃棄基準
①使用期間(定期点検)
ベルトスリングは、屋内で使用する場合は7年、屋外で使用する場合は3年と
使用期間がJIS規格(JIS B 8818)で定められているんだ。
この期間を過ぎているものは、基本的には廃棄するよ。
これは繊維スリングの材質の特長として、見た目に異常が無くても、
紫外線などが原因の目に見えない劣化が進んでいるからなんだ。
②アイ部(定期点検・日常点検)
以下が認められるものは、廃棄するよ。
・織目がわからないほどに毛羽立ちし、たて糸の損傷が認められるもの
・目立った切り傷、擦り傷、引っ掛け傷が認められるもの
・縫糸が切断して、アイの形が保たれていないもの
傷や縫い糸が切れているのは危ないって分かるけれど、毛羽立ちで廃棄?って思った人もいるかな。
実は、毛羽立ちが発生すると、擦り傷や表面が破れるといった廃棄基準に達するまでは、あっという間なんだ。
だから、毛羽立ちがあったら要注意って覚えてほしいよ。
③縫製部(定期点検・日常点検)
・目立った切り傷、擦り傷、引っ掛け傷が認められるもの
・縫糸が切断して、ベルトのはく離が少しでも認められるもの
は、廃棄するよ。
②とほとんど同じだね。
④本体(定期点検・日常点検)
以下が認められるものは、廃棄するよ。
・全幅にわたって織目がわからないほど毛羽立ちし、たて糸の損傷が認められるもの
・幅方向に幅1/10、または厚さ方向に厚さの1/5に相当する切り傷、擦り傷、引っ掛け傷などが認められるもの
・縫糸が切断して、幅以上の長さにわたって、はく離しているもの
⑤シグナルライン(定期点検・日常点検)
・摩耗、傷によって、アイ・縫製部・本体のいずれかの部分に、シグナルライン(使用限界標示)が著しく露出または消失しているもの
これは分かりやすいね!上の写真のようにシグナルラインが見えていたら廃棄するんだ。
ただ、メーカーによって設定が無い場合やラインの色が様々だから、使用する前に確認しておいてくれよな。
⑥その他・外観異常(定期点検・日常点検)
熱や薬品などによる著しい変色、着色、溶融、溶解などの異常があったら廃棄するよ。
汚れが酷くて今挙げた項目が確認できない!ってときは、中性洗剤で洗ってキレイにしてから確認してね。
以上が、ベルトスリングの点検項目だよ。分かってくれたかな?
点検時に使える「定期点検チェックシート」も用意しているから使ってみてね!もちろん無料だよ。
最後になっちゃったけれど、2024年12月1日から「年末年始無災害運動」が始まるよ!
期間は2025年1月15日までで、働く人たちが年末年始を無事故で過ごし、
明るい新年を迎えることができるようにっていう取り組みなんだ。
今年のスローガンは 「今年もやります! 基本作業の徹底 年末年始も無災害」 だよ。
年末年始のこの時期はいつもと違って慣れてないことをしたり、長期休みに向けてバタバタしちゃうよね。
「安全最優先」の考え方を基本に、あわただしい時期だからこそ、
作業前点検や安全な作業方法の確認などを着実に実施してくれよな。
今日も一日ご安全に!