くくり吊りってどんな吊り方?

6月に入ったね!梅雨にも入ったね!
今年は梅雨入りが早かったから、明けるのも早いのかな?
梅雨といえば、なんで梅雨の字に「梅」が入っているか知っているかい?
梅の花が咲くのは、6月じゃなくて3月頃なのにな~って僕は思っていたんだ。
調べてみたら、色々説はあるみたいなんだけれど、梅の花じゃなくて実が熟す時期が6月なんだって。
だから梅が熟す時期の雨ということで、「梅雨」となった説があるみたい!
梅の旬が6月だったなんて知らなかったよ。せっかく知ったから、梅シロップ作りに挑戦してみようかな。
完成した梅シロップをお酒で割るのを想像しただけで…のどが渇いてくるね。

 

さて、ここから本題に入るよ。
君たち「くくり吊り」って聞いたことあるかい?

 

「くくり吊り」とは、1本の玉掛け用ワイヤロープで荷を吊る方法で、
1本1点吊りを避ける方法として使われる吊り方だよ。

 

ワイヤロープの1本1点吊りが、原則禁止っていうのは知っているよね。
なぜ禁止かというのは、ここで詳しく説明しているから、気になった君は読んでね。
★ワイヤロープの一本吊りは危険だよ!

 

話を戻すよ。
くくり吊りには、両アイのワイヤロープを使う方法と、エンドレスワイヤロープを使う方法があるんだ。

今回は、両アイのワイヤロープを使った「くくり吊り」を2つ紹介していくよ。

 

①折り返し部にアイを通す方法


この方法は、1本のワイヤロープを折り返して、折り返し部にアイを通す方法だよ。
クレーンフックに掛ける方法は、標準的で安全な目掛け(アイ掛け)なんだけれど、
ワイヤロープが同じ長さになっていないと、クレーンフックに掛かる張力が不均等になる可能性があるから気を付けてくれよ!

 

②アイに折り返し部を通す方法


こっちは、1本のワイヤロープを折り返して、アイに折り返し部を通す方法だよ。
長所は、クレーンフックに掛かる張力が均等になる事だよ。
ただ、クレーンフックに掛ける方法が「半掛け」だから、重心が中心にないものや、
重心位置が高い荷の玉掛け作業には適さないんだ。ワイヤロープが滑って危険だからね。

 

2つの違いが分かってくれたかな?

 

どっちの方法でも「くくり吊り」をするうえで、注意してほしい事があって、
それは「強度低下を考慮しないといけない」という事だよ。

 

知っている君もいると思うんだけれど、ワイヤロープは小さく曲げると
曲げてないまっすぐな部分より強度が低下するんだ。

くくり吊りをする場合は、矢印で刺している場所の強度低下を考慮しないといけないよ。

ちょっと、計算してみよう!
破断荷重100kNのロープを使って、①折り返し部にアイを通す方法の場合で考えるよ。
式はこんな感じ。

(ロープの破断荷重×吊り本数) ÷ 安全率×強度保持率

 

まず、使用しているワイヤロープは1本だけれど、折り返しているから吊り本数を2と考える。
強度保持率は、(社)日本クレーン協会のHPに、
くくりつりをした場合,ワイヤロープの曲折した箇所は強度が約30%程度低下する。」と
書かれているから、今回は強度低下率を30%と考えるよ。安全率は6倍。
これらの数字を式に当てはめると…

( 100kN × 2 ) ÷ 6 × 0.7 = 23kN

つまりこの場合、安全荷重23kNとして使用しないといけないよ!

 

②アイに折り返し部を通す方法の時は、上にプラスして
ワイヤロープを折ってクレーンフックに掛ける部分の強度低下も考慮しないといけないんだ。

 

折り曲げによる強度低下率と、くくり吊りによる強度低下率を比較し、
強度低下率の大きい数値を使って計算するよ。

使用するロープの破断荷重は100kN、構成は6×24。
D/dの比率を1とした場合、折り曲げによる強度低下率は50%。
くくり吊りの強度低下率は30%。
強度低下率を比較して、数値の大きい「折り曲げによる強度低下率50%」を採用するよ。

 

これらの数字を同じように式に当てはめると、

( 100kN × 2 ) ÷ 6 × 0.5 = 16.7kN となるよ!

 

う~ん、ちょっと難しいね!

あんまりしない吊り方だから、僕も頭がこんがらがっちゃったよ。

 

難しい計算とかは置いといて、

「くくり吊りは、1本の玉掛け用ワイヤロープで荷を吊る方法で、強度低下を考慮しないといけない!」

ってだけ、分かってくれたら充分だよ!


君たち、今日も一日ご安全に!