安全に吊るためのご提案

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製品へのこだわり Vフック開発秘話

製品へのこだわり Vフック開発秘話

プロジェクトの課題

どんな業界でも、必ず存在するのが、「吊る」・「固縛(とめ)る」・「運ぶ」作業。
その中で、「吊る」作業に使われる頻度の高いのが重量フック。
重量フックは、製造、搬出、輸送過程で、安全な作業を担っています。

しかし、環付フックである重量フック、利便性は良いのですが…、

  • 無負荷状態のときにワイヤロープが立ちあがって外れる
  • フックの先端が外れ止め金具より外側にあり、他のものに引っかかる

という欠点もあります。

さかのぼること約10年前、「グローバル・スタンダード」の影響もあり、ヨーロッパから流出した金具が市場を席巻していきました。私たちは不安を覚えました、メーカーが日本にない海外製品だからこそ、現場で「何か」あったときに対応できる能力が乏しかったからです。
そして現場では、その「何か」が起きてもおかしくない状況にありました。
使用荷重を超えた使用がされている、という場合もありましたが、何より、初期に開発された製品の形状がデファクト・スタンダードとなり、改良がなされないままの物が多かったからです。

「どのような場所でも、どのような業種でも、安全に製品を使ってもらいたい。」

もともと30年前に開発され、市場にも浸透していた重量フック。
その重量フックにも、モデルチェンジのタイミングが来ていたのです。

Chapter 1外部環境の変化に敏感であれ

「根本的に考え方を変えてみよう!」

海外製品が渦巻くこの状況の中、30年前に開発された重量フックのモデルチェンジのプロジェクトが進めることにしました。
当時、普及していた当社の重量フックを含む環付フックが持つ問題点を、挙げられるだけ挙げていきます。

  • ラッチ(=外れ止め金具)の破損
  • 横荷重に弱い
  • 他の物へのひっかかり
  • ロープへの負荷
  • カップリング(チェーンとの接続金具)との相性
  • セーフティラッチ交換修理の不便さ・・・・

新型の重量フックを製作するのだから、考え方を変えて、安全面でヨーロッパ製品の規格(=EN規格)に適合したものを。
2004年1月の終わり、こうして重量フックのモデルチェンジへの道のりが始まりました。

Chapter 2理想を限界まで追求する設計-商品の一度目の創造

モデルチェンジが決まっても、なかなか、新型重量フックの形状を決めることができませんでした。
設計担当は、使用現場ではどのような形状のものが必要とされているのかを調べながらも、洗い出した問題点を克服する新型重量フックの形状に頭を悩ませていました。

「本当にモデルチェンジして受け入れられるのか?」

ずっと自らに問いかけ続けてきた言葉が胸に突き刺さりながら、その痛みを開発の原動力としてフルに活用しました。

「誰もが納得するような新型重量フックを設計しよう・・・!」

そして、2004年8月10日、一枚の設計図が出来上がります。
それこそが、この後、重量フック各サイズのモデルチェンジへとつながる、1.25t用の【Vフック】でした。

Chapter 3理想と現実を埋めるユーザーニーズ-商品の二度目の創造

出来あがった設計図を元に、まずは木型で試作品を製作して、1〜2か月で、細かな修正をかけていきました。
次は金型で、生産体制へと乗り込んでいきます。
図面から実際の製品へ、息を吹き込まれていく新型重量フック。
形状だけでなく表面処理も「環境に優しい」という考え方も導入して、ノンクロム塗装にもこだわりました。

そして、ここからが、モデルチェンジした新型重量フックの正念場です。
まずは市場調査PR用として、使用荷重1.25tの1サイズを1,000個試作し、市場へ投入しました。
試作した新型重量フックの課題点はどこなのか、調査をしていきました。
営業は、新型重量フックを安心・安全なものへと作りこむため、現場の声を吸い上げていったのです。

「外れ止め金具に改良を加えた。」

だからこそ、その部分に課題が出るのは当たり前と言えば当たり前です。
外れ止め金具を留めているロールピンが折れる、スプリングが折れる、という問題が約半年の間に発生しました。
さらに、ユーザーによって考え方や使用状況が異なるため、ニーズをどう改良につなげるかにも苦慮しながら、安全を最重要視しながら、さらなる改良に追われました。

さらに、現状の問題だけでなく、将来へのステップとして、2.0t用の新型重量フックの設計図も求めていきました。
まさに、目も回る忙しさを誰もが感じながら、しかし、そのような過酷な状況の中で、新型重量フックは目覚ましい成長を遂げていったのです。

将来、大洋製器工業の看板を背負っていくであろう製品の名称も、材質の等級が「V級」(※)であったこと、そして“環付フックで他社に勝利(Victory)する”意味を込めて、【Vフック】と名づけました。
※V級とは、JIS規格で定められた等級のこと。JISで最高グレードの品質です。

ものづくりの現場で、製品を支えるVフック。
製品の中にはなくても、製造現場になくてはならない存在。

実際に、Vフックが使用されている様子。
鮮やかなオレンジは安全も確認しやすいカラーリング。

Chapter 4利益追求ではなく安全啓発こそがモデルチェンジの原点!

大小さまざまな坂を登り終え、【Vフック】が次に登るべき坂が目の前に広がります。
成長した【Vフック】の晴れの舞台を飾る、営業活動の開始です。

従来製品の重量フックから、モデルチェンジをすれば、その分、製品単価が高くなるイメージが付きまといます。

「従来品で事故も起こしていないのに、今のままで十分ではないか?」

という言葉が、モデルチェンジした【Vフック】の行く手を阻みました。

しかし、「安心」「安全」「信頼」を企業理念に掲げる大洋製器工業が、新たにたどり着いた【Vフック】の基準は、ユーザーの「安全第一」を考えたもの。

たとえ安全率5倍以上の設定値があり、1t用フックを破断引張試験で8t以上の性能を出してきたTAIYOクオリティの製品でも、使用方法が間違っていると事故に繋がる危険性があるのです。

「間違った使い方をしているユーザーにはその間違いを指摘し、危険性を伝えて、安全軽視は事故の元であることを認識してもらう!」と、営業担当はあらためて決意し、あらゆる業種で、現場での重量フックを含む環付フックの使われ方を丹念に見て回り、そして、ユーザーにとっての「安全」を啓発し、営業活動をとおして、「安心」を普及していきました。

Chapter 5原点=ポリシーから生まれる新市場

新生【Vフック】が目指すのは、何も建築や土木、運送などの既存業界だけではありません。
「吊る」作業は、どのような業種でも見られる作業に違いないからです。

例えば、アミューズメントパークでの、モニュメントの吊り上げ、例えば、工場、港湾等クレーンのある現場での吊り上げ、例えば、風力発電設置現場での、高所へのブレード(羽根)の取り付け・・・
挙げだしたらキリがないほど、「吊る」という作業は、身近にあります。

これからも大洋製器工業製器は現場への目を凝らし、まったく新しい分野への進出を考えています。
大洋製器工業が得意としてきた既存業界だけでは、受注数に変化を加える事が難しいからです。
新市場の開拓は、大洋製器工業の安定的な成長にも必要不可欠と考えます。

設計担当のその後

「末永く愛される、大洋製器工業の歴史に残るような、イメージリーダーとして、
ユーザーに親しまれるような、【Vフック】に育ってもらいたい」

これは、大洋製器工業の社員すべての願いでもあります。

古い考え方に固執するのではなく、新しい風を開発に、営業に、会社全体に取り入れ、そして現場へと広げていく。
それが私たちの使命です。